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 新型コロナウイルスのパンデミック劇は,まるで100年前のスペイン風邪の歴史的事件を目撃しているかのようである。本稿ではその体験を通して改めて現在進めているBSL4施設反対運動の意味について考える。

 新型ウイルスへの国の対応をテレビで見ながら(見たのは羽鳥慎一モーニングショーのみ。その他のニュース番組は精神衛生上良くないので全く見なかった),私は強く感じたことがあった。それは国そのものへの不信感である。長崎大学の説明では『BSL4施設で何か事故があった場合には,国が職員を派遣して収拾に当たる(だから安心です)』というのだが,むしろ国が関わってくることがリスクではないか,と思えるほどだ。

 最初に湧きあがるのは東京五輪のために感染実態を隠そうとした疑いである。日本国内が多数の感染者であふれ返ったらIOCから五輪中止を宣告されかねない,それを回避するには実態を隠すしかない,そのためには感染者と認識しなければよい,だったら検査をしなければ良いではないか,五輪利権亡者たちは浅はかにもそのように思ったのかもしれない。あの検査の絞り方は確かに異常だった。実際,3月24日の五輪延期決定の前後で感染者数と死者数の増加が全く違って来た。当初から早期発見,早期隔離と治療を行っていたら死なずに済んだ人も多かったはずで,この不作為の罪はとてつもなく大きい。

 私が怖いと思うのは,このような国策による大義名分が個々の国民の命より優先されるという国の体質であり,それは長崎大学のBSL4施設で何か不都合な事態が生じた時に,住民の命を最優先してくれるのか,という不信感に繋がるのだ。例えば,エボラウイルスが漏れて住民が感染しても,初期症状は風邪類似。検査してみましょうと病院内に連れ込まれ,エボラ感染が判明しても,隔離された後はブラックボックス。その中で死んだりしたらどんな死因にされるか誰にもわからないし,軽快して生還できたとしても,痛風でした!なんてことになりかねない。国から来た職員はさっさと証拠を片付けて,あとはよろしく,ばれんようにしっかりネ,ばれても補償金は出せんから,なんて言い残して去って行く・・・そんなレベルの想像を掻き立てる不信感である。

 新型コロナウイルスはBSL4施設の本質的な危険性をも改めて教えてくれた。例えば,武漢のBSL4施設から漏れ出たものではないかという疑念がある。この真偽は今は問わないことにしよう。重大なことはそのような疑念が生じる余地が存在すること,それ自体である。そういう疑念の源泉はバイオ施設の潜在的危険性であって,潜在的危険性が存在しなかったらそもそもそのような疑念が生じることはないのだから。言い換えると,市民は施設がはらむ潜在的危険性に常に脅かされる,あるいは市民の社会生活においてそのような潜在的恐怖と共存を強いられるということである。長崎大学は常々,或いは裁判を通して,我々市民が持つBSL4施設への不安というものは根拠がないと主張しているが,決してそうではない。バイオ施設(我々にとってはBSL4施設)への不安というものは,それが持つ潜在的危険性がいつ顕在化するか,という具体的な不安であって,「水族館からライオンが逃げ出す」ことを恐れるような荒唐無稽の類のものではないのである。

 そしてBSL4施設の真の脅威を今回の新型コロナ劇で感じ取るべきである。当然ながら新型コロナウイルスは当初国内には存在せず,それの国内侵入をいかに防ぐか,という地点が最大の勝負どころである。事実,完全ではないにしろ,ほぼ国内侵襲を防いだ国々(ベトナム,台湾,ニュージーランドその他)は,死者数も感染者数も非常に少なく,国民を見事に守り切っている。

 だが,いったんその地点での勝負に敗れると大ごととなる。今の日本は五輪の因果が報いてその状態だ。そうなったらもはや検査と隔離と治療しかない。だがその当たり前のこと(国民の素朴な常識と願いに基づく)が我が国では行われなかった。このことは我が国の怖い体質の一つの顕われである。例えば上記したように頑なにPCR検査をしない,保健所を必ず通すことにこだわる,その他多くの異常体質を目撃できた。そして長崎大学も,この異常体質側であるということを見逃してはいけない。例えば『BSL4施設がなければエボラウイルスの検査ができない』等々,多くの嘘をまき散らしてきたことなどは,BSL4施設欲しさのためにどんな嘘でも吐くという異常体質の一つである。これらについても多くのことを指摘したいが,稿を改めたい。

 ここで強調しておくべきなのはBSL4施設のもう一つの意味である。それは,コロナウイルスにとって最初で最大の関門であった国内への侵入が,BSL4施設で飼われる凶悪病原体にとっては,何の障害にもなっていないということである。それどころか,なんと人間の手で大事に運び込んでもらえるのだ。このように考えると,長崎大学のBSL4施設の異常さ-坂本には多くの外来の凶悪病原体がすでに国内侵入済みとなること,新型コロナの次は長崎のエボラウイルスかもしれないという恐怖感-に愕然とする。

 ウイルス自体の研究がもし必要なら,一大学で行うのではなく国全体,世界全体が協力し合って適切な場所で行って欲しいと切に願いながらひとまず本稿を終える。





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# by nakamatachi3 | 2020-06-07 18:11