(1)BSL4施設のリスクと市民との関係
 考えてみれば不思議なことである。長崎大学が自らの施設を自らの敷地内に設置することに,なぜ私たち住民が異を唱えて良いのだろうか? 実は,BSL4施設の設置については,学術会議の提言,文部科学省やWHO等,多くの組織の指針で,住民の理解が大前提ということが謳われているのである。その理由を考えればこの問題の社会的意味が明らかになってくる。
 つまりこういうことだ。BSL4施設の中では最高度に危険なウイルスが取扱われる。すると,万一の事故や事件が生じた場合,その兇悪なウイルスは取り返しのつかない被害を市民に与える。その潜在的な危険性が公認されているのである。
 このことを逆に言えば,施設が設置されると住民・市民は或るレベルのリスクを覚悟しなければならないということになる。誰でもそんなリスクと隣り合わせに生涯を送りたくはないし,そんな土地を子孫に引き継ぎたくもない。問題はリスクの程度である。実は長崎大学は世界一安全な施設・マニュアルを作ると言って,リスクを認めて来なかった。しかし,リスクゼロの安全神話は絶対にありえないことを原発事故で国民はいやと言うほど学習したのであり,片峰学長も最近の公開質問で,ついにリスクがゼロでないことを認めた。しかしそのリスクの程度の認識は私たちと大きな開きがある。

(2)住民の理解の意味
 一方,エボラのような超高危険度感染症の克服は全国民の悲願,そのような重要な意義を持つ研究にはリスクがあっても設置を認めたい市民もいるかもしれない。すると,研究のためリスクを取って設置容認するか,別に坂本になくても良い施設によってリスクを負うのはまっぴらご免!と言うか,住民一人一人の問題となる。BSL4施設設置問題はその過程を経て決定すべき問題と言える。
 この時に銘記すべき点は,決定する権利は住民側にあること,大学はその決定を尊重しなければならないことである。ところが,現在進行中の事態は住民の意思に敵対する方向に進んでいる。これは税金で賄われている国立大学の分際としては驚くべきことで,長崎大学の体質としか言いようがない。福島原発による健康被害を異常に小さく見せかける犯罪的行為を主体的に担っていることと併せて考えると,もしかしたらこれは長崎大学の歴史的体質なのかもしれないと思う。

(3)私たち住民の意思の表明
 BSL4施設を誘致してまで設置したい住民の存在はこれまで認知されていない一方,私たちはこれまで住民の反対の声を数字として目に見える形で示してきた。二十数自治会の反対表明に始まり,反対表明ハガキの集積,街頭署名を経て,今年の4月から組織的な署名活動を新たに開始した。約3か月強経ったが,これだけでもすでに6千筆を超える署名が集まり,記者会見で社会に報告した。また,その事実は学長,市長,知事に通告し,事業の中止と設置容認撤回を要求したが,未だ事業中止の気配は見えない。
 そして,文部科学大臣には二度目の嘆願書を送り,来年度の概算要求を見送るよう求めた。間もなく回答入手の見込みである。(一度目は今年度の概算要求見送りにつながった。)

(4)私たちはなぜ反対しているのか
 私たちが反対している理由についても書いておかなければならないだろう。(紙幅の関係で簡単にしか書けないことをお断りしておく。詳細はお問い合わせください。)
 ・別に坂本になくても良い施設によるリスクを負いたくはない(坂本設置は大学の身勝手な都合)
 ・リスクゼロという安全神話は受け入れない。
 ・長崎大学の信頼できない体質1:研究施設の安全管理の杜撰さ(違反の実態有)
 ・長崎大学の信頼できない体質2:虚偽の説明や宣伝(重大事故は紙一重の運次第)
 ・長崎大学の信頼できない体質3:住民ファーストではない体質(大学ファースト)
 ・長崎大学の信頼できない体質4:情報公開に消極的(防衛絡みの研究を監視するのは不可能)

【結びに代えてのお願い】 このBSL4施設設置事業を中止してもらうには,圧倒的多数の市民の声を届けるほかはない。文部科学省や行政機関,それにあの長崎大学さえも,署名の重みは十分に認識しているとのことである。読者の皆様にも署名へのご協力をお願い申し上げる。

本稿は『言論ながさき 第5号』に寄稿した文章を基にしたものです(長崎ぶらぶら平和日記の主宰者,I氏から依頼を受けたもの)。ただし,字数制限のため意を尽くせなかった部分については文意補強のために若干の手を加えました。また,色文字による強調はオリジナルにはありません。


主張・理念と声明に戻る
『BSL4施設設置の中止を求める自治会・市民連絡会』関連情報に戻る
トップページに戻る






========記事ここまで========

[PR]

by nakamatachi3 | 2017-08-28 10:19 | Comments(0)

<< 長崎市議会への陳情    BSL4学習会のお知らせー山口... >>